EXHIBITIONS

絵暦:これ何月の絵?

STATEMENT

ARTPLAT(ART PLATFORM TOKYO)は、山田啓貴、藤本純輝をフィーチャーした2人展「絵暦:これ何月の絵?」を開催します。

山田啓貴は学生時代から長らく生活していた東京を後にして、故郷北海道に制作の場を移したのは5年前(?)でした。彼が用いる技法は、中世、ルネッサンス期によく使われた、卵を顔料に混ぜた絵具を用いるテンペラです。乾きが早く「厄介」とも言われるこの古典技法を使う彼にとって、北海道は欧州のように「絵具の食いつきがよい」と言います。

彼は「体験」を描きます。キャンバスの中心に描かれた美味しそうな食べ物やありふれた日常品は、彼の心に残るスナップショットです。そして、一見レンブラントの描く肖像画の背景のように大きくとられた余白。彼が描きたいのは、実はモチーフの周りに広がる余白なのだと思います。周りで聴こえた音、漂っていた匂い、そうしてまだ覚えている手触り。。。モチーフを際立たせるために描かれた背景ではなく、過ぎた日の空気感を、彼は描きたかったのではないでしょうか。
 
一方、京都で制作を続ける藤本純輝は「森のざわざわや抜けていく風、目に入る太陽の光、それらがもたらすたしかな感触を創造したい」と言います。近くで見るとキャンバスの素地は部分的に荒々しく切り裂かれており、そこから始末されていない繊維や、自分で染めた布がキャンバスの下から覗いたり、表面に引き出されたりしています。引き裂かれたキャンバスの上に重ねられた色彩を使い、彼はどこにでも見かける花や植物を表現します。
 
藤本の作品は米国の女性画家ジョーン・ミッチェルを彷彿とさせます。二人とも自然を「半抽象的」に描きます。ミッチェルは激しく殴りつけるような筆致を使いますが、藤本はキャンバスを引き裂くという、より直接的で暴力的な手法を取り入れます。近くで見ると花と分別できる彼の作品も、少し離れて見ると、キャンバス一面に美しい色が舞い、独特な構成を持つ抽象作品に見えます。下から引っ張り出された絹地で再現される薄く繊細な花びらや、まるで滴り落ちる絵の具を模した長く垂れた繊維に、絵画の可能性を感じます。
 
山田啓貴は思い出、藤本純輝は花をテーマと、全く作風が違う二人がそれぞれの日本の四季を表現します。さて、二人が描くのは何月の絵でしょう。。。

WORKS

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